CASE 3 : Planner
プランナー編この案、どうですか?
プランナーの仕事はディレクターのサポートだ。
仕様書や発注資料の作成など、その内容は多岐に渡る。
今日もプランナーHは、ゲームで行われるイベントの仕様書を作っていた。
だが、イベントの概要を決めているのはディレクターだ。
プランナーHは常々思っていた。
俺にだってアイデアがある!
会議で次回イベントの話題があがった時、プランナーHは声をあげた。
「次は、このツンデレキャラを報酬にしましょう!」
だが、ディレクターの反応はにぶい。
「ツンデレってキャラの深掘りしないとウケないんだよ。シナリオの工数的に難しいな。」
「中途半端なモノを出して人気が出ないくらいなら、他のキャラのほうがよくない?」
結局、ディレクターのアイデアで次のイベントを行うことになった。
そして、イベントは盛況だった。
ならば、この案、どうですか?
プランナーHは、様々なソシャゲをプレイし、流行やUIを勉強した。
そのインプットを活かし、次のイベントこそ自分のアイデアを採用してもらおうと意気込んだ。
そして、会議当日――
「次のイベントなんですが、このキャラをフィーチャーするのはどうですか?」
「う~ん、このキャラは前回のイベントキャラと被るところがあるんだよな~。」
「変化つけたほうがいいと思うんだけど? 使うんなら、時間置いたほうがいいかなぁ……」
結局、プランナーHのアイデアはボツになった。
そして、ディレクター案のイベントは盛況だった。
だったら、この案、どうですか?
プランナーHの意見は、ディレクターに的確なダメ出しをされ、却下され続けた。
そして、ディレクター案のイベントは毎回盛況なのだ。
自分の意見がボツになるのは悔しい。
だが、ディレクターの手腕は素直に尊敬できる。
それでも、俺にだってまだまだアイデアはある!
プランナーHはめげずに会議で発言した。
「H、その案は工数が足りない」
ディレクターはあっけなくプランナーのアイデアを切って捨てる。
だが、プランナーHは、めげない。
用意していたアイデアを全て出し切るつもりで、発言した。
だが、その全てがディレクターの的確なダメ出しでボツになった。
「……H、もうアイデアはないのか?」
ない。
全て出し切ってしまった。
いや……まだだ。
まだ、絞り出せば、なにか出てくる。
「……確か、このキャラって水着差分がありましたよね?」
「水着差分は夏に使うから、まだ先だな……」
「そこで人気爆発させるために、今回のイベントでフィーチャーするのはどうですか?」
ディレクターが黙った。
またボツか、とプランナーHは思った。
「……その考えは悪くない。よし、今回は、このキャラを使おうか」
なにかアイデアあるか?
プランナーHのアイデアをディレクターがブラッシュアップし、イベントは大盛況だった。
そして、次の会議でディレクターが口を開いた。
「H、次のイベントのアイデア、なにかあるか?」
ディレクターのほうから尋ねてくるのは、これが初めてだった。 プランナーHは大きくうなずいた。
「ありますっ!」